太極拳とは?

太極拳の「太極」という言葉は、三千年前の「周易」という書物に由来しています。
太極の「太」という字は「大」よりも大きく、「太極」は大自然のように「果てしない大きさ」という意味を持ちます。
そういった自然や、世の中全てのものの中には
「陰」と「陽」があり、違いに対立したり融合したりしていると考えられています。
陰陽とは?
イメージとしては陽は「剛(かたい)」「速い」「強い」「武」など。 陰はそれに対し「柔らかい」「ゆっくり」「弱い」「文」など。
このように万物には陰と陽が存在すると考えられています。
例えば、太極拳で一番わかりやすいのは、 手のひらを上に向けるのは陽で、反対は陰。
重心がかかっている方が「実」で陽を表し、 そうではない方は「虚」で陰を表すなど、 すべてに陰陽の関係がみられます。
そして両者は永遠に変化を続け、バランスを保っています。
太極拳と陰陽のバランス
陰陽のバランスでわかりやすいのは男女や昼夜などがあり、もし一方がなくなったらバランスが崩れ、ひいては消滅に至ってしまうでしょう。
太極拳の動きには「柔」「緩」「鬆」という大きな特徴があります。
全体的に柔らかく、ゆっくり、リラックスした自然体でということです。
こうしたことから太極拳は、時に舞踏の類と思われがちですが、実際は武術であり、相手と戦うこともできます。

人間関係と太極拳の関係とは?
陰陽のバランス、柔らかく、ゆっくり、リラックスという太極拳の特徴は、人間関係で言えば相手が「剛」できたらこちらは「柔」で応じるということです。
両方「剛」ならば、たちまち喧嘩になってしまうでしょう。
人と付き合う中では必ず色々な問題が起こるものです。解決するには多かれ少なかれ時間もかかります。興奮して相手に突っ張ってしまうと、相手を傷つける可能性も高くなります。
まずは落ち着いて、すこし時間を起き、「一晩寝てから処理しよう」という方法で解決していくのが人間関係をよく保つ方法ではないでしょうか。
リラックス効果で得られるメリット
太極拳で、緩やかに流れる動きするには、 余計な力を抜いて、リラックスする必要があります。
それを常に意識し継続することにより、 精神的にも落ち着いた状態でリラックスすることができます。
また、気分がリラックスしている時の方が、人と接する時もうまくいきやすいです。
こちらが緊張していると、相手もリラックスできません。適度にバランスが取れている良い状態、つまり自然の状態が一番大切なのです。
中国の言葉で 「過猶不及(過ぎたるはなお及ばざるが如し)」 と言われるように、 なんでも「〜過ぎる」という過剰な状態は良くありません。
太極拳では「過猶不及」を常に追求し、 自然体を意識します。
例えば、太極拳には二人で手を押し合って相手の重心を崩す組手「推手(すいしゅ)」というものがあります。
ゆっくり相手の手を推していくのですが、押し足りなければ相手は当然倒れません。しかし推し過ぎると自分のバランスを崩し、相手にそれを利用されて倒されてしまいます。
やり過ぎても、足らなくてもいけず、 太極拳を行うことで心身ともに、 バランスを調節する技術も磨くことができるのです。